ボールが思ったところにコントロールできずにラリーが続かない方にどこを狙っているかを聞くと、「狙っても打てないから狙っていない」の様にボールの目標が無いことや、「ネットを越える」とか「相手のコート」の様にボールの目標が曖昧なことがよくあります。

狙い通りにボールを打つためには、自分がどこにどの様なボールを打つかが決まっていて、タイミング良くボールを打てることが必要です。全くテニスをしたことが無い方であれば初めは打ち方を練習していくと思いますが、打ち方がわかったらその打ち方ではどこにどの様なボールが打てるといいのかをわかった上で練習していきましょう。

狙ったところに打てるとラリーが続いて楽しいだけでなく、戦術的なやり取りができる様になります。フォームを意識していても、どこにどの様なボールを打ちたいのか、何のために打つのかわかっていないと、せっかく練習した技術が試合ではあまり使えない、実用的でない技術になってしまいます。

狙ったところにボールが打てるだけでなく、試合でも使える実用的な技術を身に付けるための考え方について解説します。

目次

プランニングとは

自分がボールを「どこに」「どの様に」打つかという予定を決めることです。

狙う時にはボールの軌道のイメージを持ちますが、軌道のイメージはボールコントロールの5要素によって決定します。ボールコントロールの5要素が決まると自分が打ってから相手が打つまでのボールの到達時間が決まり、それを感覚的に把握します。自分が打つボールの放物線の頂点の位置もボールをコントロールする上での手掛かりとなります。相手が1バウンドで打つ場合はバウンド後のボールの軌道も相手との時間のやり取りをする上で重要です。

プランニングが決まることでボールを打つ時の立ち位置、ボールへの入り方、ボールとの距離感、ボールとラケットがコンタクトするエリア、ラケットのスイング軌道、スイングスピード、力加減など、ボールを狙った場所に打つために必要な要素が決まります。それをいかに正確に実行できるかによってボールコントロールの精度が決まります。

プランニングは相手がボールを打つ前まで決まったいる必要があります。プランニングが決まっていることで自分がすべき行動が決まっているため、相手がボールを打った瞬間に素早くスタートを切ることができます。逆に相手が打つ時にプランニングが無いととりあえずボールに触れる場所に移動はするものの、ボールへの入り方も曖昧になってしまい、結果ボールのコントロールも定まりません。

試合では状況に応じて咄嗟にコースを変える必要もあります。しかしコート半面でのラリーの様に、コースを変える必要があまり無いのでラリー練習では、ラリーがはじまる前にプランニングをイメージしてから打ちはじめましょう

ボールコントロールの5要素

ボールコントロールの5要素とは下記の5つです。

  1. スピード
  2. 高さ
  3. 左右
  4. 深さ
  5. 回転

「どこに」打つかは左右と深さで決まる

「どこに」打つかに関しては、③左右と④深さによって決まります。サーブの様に自分の打ちやすいボールを打てる状況ではより正確に狙いを決めます。正確にというのは狭い範囲で狙うことでコート上にボールを置いてそこを狙うようなイメージです。

サーブ以外のショット(ストローク、ボレー、スマッシュ)は相手が打ったボールに対応して打つ必要があります。相手のボールが打ちにくければ打ったボールもよりズレるのでサーブよりも少し広い範囲で狙っていきます。例えば半面のストレートで安定してラリーを続けたい場合、左右はダブルスのサイドラインからセンターライン、深さはサービスラインからベースラインの2メートル手前くらいといった様に、広い範囲に狙いを持ちます。

技術的にレベルが上がりボールに対しての対応力が上がってくるとより精度が高く打ててくるので、その場合は範囲を少し狭くして狙っていきますが、相手のボールが厳しいところに来て自分の状況が不利になるほど安全に返球したいので狙う範囲は広くなります。この様に技術レベルや自分の状況によってプランんング(狙う範囲)は変化していきます。

「どの様に」打つかはスピード・高さ・回転で決まる

「どの様に」打つかに関しては、ボールが飛んで行く時の軌道です。①スピードと②高さによって決まります。狙う④深さが決まっていることでスピードと高さはお互いに影響し合って決まります。

同じ深さを狙った時に、ボールのスピードを上げていくほど高さは低くなっていきます。また、ネット上を通す高さが高くなるほど同じ深さにボールを落とすにはスピードを遅くする必要があります。この様にボールのスピードと高さは相関関係があります。

⑤回転が加わることでスピードと高さの関係に変化が起きますが、ある程度ボールのスピードが出せて回転も加えられてと技術的に難しいので始めのうちはあまり気にしなくていいでしょう。

ただ回転方向はボールに対してのラケットの入り方、振り方を決める要素なので、ボールの回転がどちらなのかはわかっておく必要があります。

ボールコントロールの5要素が決まるとボールの到達時間が決まります。

次回「到達時間と時間感覚」「放物線の頂点」に続く


ふっしー

伏見 大輔(ふしみ だいすけ)/TMCF代表/フリーランスのテニスコーチ/東京都板橋区を中心に都内でプライベートレッスン・初級者向けレッスンを開催/テニススクールにて業務委託でレッスン/テニスコーチ歴は17年(2022年現在)/7ヶ所のテニススクールにて指導経験あり

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