テニスでは、常に自分が好きなショットを打てるわけではありません。試合では、相手のボールやコート上の状況に応じて、適切なショットを選ぶことが求められます。適切な状況判断ができるかどうかで試合の展開が大きく変わることもあるため、 判断力を身につけておくことは非常に重要です。そこで今回は、状況判断とショット選択のポイントをわかりやすくご紹介します。

状況の区分け:「有利」「不利」「どちらでもない」

試合中は1ラリーごとに自分がボールを打つ時の状況は異なりますが、初めから全ての状況を把握して適切なショット選択をするのは難しいものです。そこで状況を把握できるようになるために「有利」「不利」「どちらでもない」の3つに分けて考えることで、判断がしやすくなります


有利な状況とは、相手が弱いショットを打ってきた場合や、自分が攻める余裕がある場合です。このときは攻撃的にプレーでき、相手から時間を奪うことが目標となります。

②不利な状況は、相手の強いショットや速いショットで時間がなく、守りに徹する必要があるときです。この場合は、自分の時間を確保し、できるだけ安定して返球することが優先されます。

③どちらでもない状況は、有利でも不利でもなく、両者がほぼ均衡している状態です。このときにはリスクを抑えつつも、相手に余裕を与えすぎないようにプレーすることが大切です。

判断の仕方と時間感覚を養うポイント

状況判断の基準の一つとして、自分がボールを打つための時間が十分に確保できているかを常に意識しましょう。例えば、相手のショットが速い時には、時間が足りずに体勢やリズムを崩しやすくなります。反対に、遅いショットでは自分に余裕が生まれ、次のプレーへの準備が整いやすくなります。
他にも、バランスやリズム、タイミング、精神的な落ち着きも判断基準に含まれます。

試合中に自分のプレーがうまくいかないときは、まずこれらの項目を確認し、少しでも整えていくことを心がけましょう。

試合での判断基準をまとめると以下の通りです。

  • 打つ時に時間的な余裕があるか
  • バランス・リズム・タイミングが整っているか
  • 気持ちが落ち着いているか

また、練習中から「ボールの時間感覚」を意識することも大切です。たとえば、ボールが自分のコートに到達するまでの「時間」を把握することで、状況ごとの対応力が上がります。こうした「時間感覚」があると、試合でも冷静に状況を見極められるようになります。

状況によるショット選択のポイント

状況に応じて、ショット選択も変える必要があります。有利な時ほど積極的に時間を奪い、不利な時は安全に時間を確保するというメリハリが大切です。また、どちらでもない状況ではリスクを抑えながら、相手に余裕を与えずにチャンスを待つことが理想です。

  1. 有利な時のショット選択

    有利な時には、相手にプレッシャーをかけるショットが有効です。例えば、速いストロークを打つ、早いタイミングで返球する、あるいはネットに詰めてノーバウンドでボレーするなどです。これにより相手の時間を奪い、さらにこちらが有利に試合を進めやすくなります。速すぎるショットでなくても、通常の1割から2割増しくらいのスピードで打つことで、相手はプレッシャーを感じることが多いです。
  2. 不利な時のショット選択

    不利な状況では、まず自分の時間を確保することが大切です。軌道を上げたショットやスピンをかけた安定したショットを選ぶと、相手が攻撃しにくいボールになります。ボールが深く入ることで、相手を後方に下がらせる効果もあります。特に軌道を上げると打球の力は少なくて済むので、体力を温存しながらプレーできます。本当に追い込まれた状況では、無理に回転を掛けようとせず、ボールの軌道を上げることで時間を確保していきましょう。
  3. どちらでもない状況でのショット選択

    この状況では、リスクを抑えつつ、相手に余裕を与えないプレーが求められます。スピードを抑えたショットや、回転量を増やしたショットを使って、相手のミスを引き出すのも有効です。ストローク同士のラリーであれば、スピンの回転量を増やすことでスピードを抑えながらもバウンド後に相手コートの後方に弾むボールが打てて、相手をコートの後方に下げさせることができます。

状況判断力を養う練習方法

判断力を身につけるには、ラリーの中でボールを打つ時に自分の状況を声に出して言う練習が効果的です。

  • 有利な状況は「
  • 不利な状況は「
  • どちらでもない状況は「黄色

として声に出します。信号のイメージから「信号ドリル」とも呼ばれます。最初は上手く判断できずに間違って言ってしまうかもしれませんが、気にせず言い続けてみましょう繰り返し判断する練習をすることで、だんだんと判断が正確になってきます。ぜひ、普段の練習で取り入れてみましょう。

まとめ:常に変化する状況に対応する

試合中の状況は絶えず変化します。そのため、「今の状況は自分にとって有利か、不利か、それともどちらでもないか」を意識して判断し、最適なショットを選びましょう。「いかに自分の時間を確保し、相手の時間を奪うか」を意識することで、自然と試合の流れを有利に進めることができます。まずは練習の中で、このように自分の状況を常に判断をする習慣を身につけ、試合で実践できるようにしていきましょう。

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ふっしー

伏見 大輔(ふしみ だいすけ)/TMCF代表/フリーランスのテニスコーチ/東京都板橋区を中心に都内でプライベートレッスン・初級者向けレッスンを開催/テニススクールにて業務委託でレッスン/テニスコーチ歴は17年(2022年現在)/7ヶ所のテニススクールにて指導経験あり

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