テニスでは、速いボールや高く跳ねるボール、遠くに打たれたボールなど、難しい状況に直面することが多くあります。そんな時、「上手く打てない」と打つ前から諦めてしまう方を初級者レッスンでよく見かけます。しかし、どのような状況でも諦めずに最後まで打ち返そうとすることが、プレーの質を高めるためには非常に重要です。
今回は、なぜボールが「2バウンドするまで諦めない」ことが重要か、その理由とそれを効果的に実現できる実践法についてお伝えします。
理由1: 経験値を積むチャンスを逃さない
難しいボールを諦めて見送るか、全力で追いかけるかの違いは、経験値に大きな影響を与えます。返球できなくても、以下のような段階を少しでも進める努力が大切です。
遠いボールに対してのミスの段階
- 反応できた
- ボールに向けて1歩出せた
- ボールの近くまで移動できた
- ボールに触れた
- ボールを相手方向に飛ばせた
- ボールをネットの向こう側に返球できた
たとえ返球できなくても、「反応する」「1歩動く」といった小さな成功体験を積み重ねることで、いずれ難しいボールにも対応できる力が養われます。
理由2: 相手にプレッシャーを与えることができる
諦めずにボールを追いかける姿勢は、相手に心理的なプレッシャーを与えます。
- 相手が強いボールを打ってきても、それを諦めずに返球できると、相手が次はさらに強いショットを狙おうとして力み、ミスをすることがあります。
- ダブルスでは、相手後衛がストレートパスで抜こうとした時にラケットで触るだけでも、次のショットで相手が厳しいコースを狙いすぎてサイドアウトする可能性があります。
「簡単にはポイントを取れない」と相手に思わせるだけで、相手にプレッシャーを与え、ミスを誘える可能性があります。
理由3: 予測力や判断力が磨かれ集中力も高まる
自分が相手にチャンスボールを与えてしまい、攻撃されそうな場面でも、諦めずに返球しようとすることが重要です。
相手が打ってきた厳しいボールを諦めずに追いかけよう思って待っていると、相手のボールが厳しいほど集中力が上がります。ピンチの場面では、相手がミスをする可能性を残すだけでなく、反射的な動きや粘り強い対応力を身につける絶好の機会となります。
自分が不利な状況でも、「次のボールを取る」という意識を持つことで、試合の流れを変えるチャンスが生まれることもあります。
理由4: 自分が取れなくてもペアが返してくれる可能性がある
ダブルスでは、自分が返せないボールをペアが返球してくれる可能性があります。ペアが大きく場所を移動して返球してくれている場合、ボールを打たない自分は空いたコートに移動する必要があります。ボールを打たない時もやるべきことがあるのです。
例えば、以下のような状況を想像してください。
- 後衛で自分の正面に短いボールが落ちてきた場合、自分が取れなくても前衛が返球してくれることがあります。その際、後衛の自分は反対サイドへ速やかに移動し、空いたコートをカバーする必要があります。
- 前衛で味方後衛がショートクロスの厳しいボールを追ってコートの外側に移動した場合、自分が空いた部分に動き、オープンコートを作らないようにする必要があります。
このように、自分が打ち返せなくても次の準備をしておくことで、チームの守備力を高めることにつながります。
まとめ
テニスでは、ボールが2バウンドするまで諦めずに追いかけることが、個人の成長、試合での勝利、そしてチームプレーの向上につながります。転倒しそうになるほど無理に取る必要はありませんが、ボールへの注意を最後まで離さず、少しでも良い状態を目指して動き続けることが重要です。少し大変な状況でも返せるように練習することで、少しずつ難しいボールにも対応できるようになります。まずは「2バウンドまで諦めない」を実践してみましょう。
少し難しいボールを返せるようになりたい方はプライベートレッスンを活用するのもおすすめです。