ダブルスの前衛で、相手が打ってきたショットに対して反応が間に合わず、ボールに触れないという悩みをお客様から相談されました。

原因として考えられることは、前衛の準備のタイミングが間に合っていないために、相手のボールに反応できていないことが挙げられます。

今回はそれについて解説します。

目次

なぜ準備が大事なのか

相手後衛からのストロークが前衛のポジションに届くまでの時間は1秒以下です。

そのためボールが来てからできることは、ボールに反応して打ち返すことくらいしかありません。

とにかく時間がないので相手がボールを打つ前にいかに準備を整えておくかが反応して打ち返せるかどうかの鍵になります。

またダブルスの前衛はボールが相手のコートか自分のコートのどちらにあるかで、ポジションが変わります

スクールの初級クラスでは、よく目印を置いてそれを目安に動く練習をします。しかしそれに慣れてしまうと、ボールの動きとは関係なく場所のみを意識して動いてしまいます。そうすると反応して打ち返すことが困難となります。

ポジションも大事ですが、「準備をすませるタイミング」「準備できる時間」意識して動く距離が変わると良いと思います。

ダブルス前衛の準備

ダブルス前衛での「相手がボールを打つまでの準備」には、下記の3つがあります。

  • 目線と体の向き
  • ポジショニング
  • 相手のインパクトに備える

これらについて、それぞれ解説していきます。

解説にあたり、各ポジションの名称を下図(図1.)を参考にして下さい。

図1.各ポジションの名称

目線と体の向き

テニスでは、相手がボールを打つ前に、そちらに目線と体を向けます

相手後衛が打つ前には相手後衛の方向を向きますが、味方後衛がストロークを打とうとしている時には、相手前衛の方向に目線と体を向けておきましょう。

そうすることで、味方後衛のストロークが相手前衛にボレーされてしまっても、反応しやすくなります。

ポジショニング

相手後衛が打つ前には、前衛とサイドラインの間のスペースを狙われる可能性があるため、そのコースに来たボールに反応できるように、少しサイドライン寄りにポジションを取ります。(図2.参照)

図2.相手後衛が打つ時

味方後衛がストロークを打つ時には、相手の前衛のボレーがセンターに来る可能性が高いため、それに対応できるようにセンターライン寄りにポジションを取ります。(図3.参照)

相手前衛がボールを打つ場合、近くから打たれてしまうと反応する時間がなく打ち返すことが難しいため、相手前衛から距離を取ることで反応する時間を確保します

図3.味方後衛が打つ時

相手のインパクトに備える

相手がボールを打つ前には適切なポジションで目線と体を向けて、ラケットを構え、相手がボールを打つ瞬間に合わせてスプリットステップを行いましょう。

相手のショットに対して素早く反応するためには、相手のインパクトと自分のスプリットステップのタイミングを合わせることがとても重要です。

準備のタイミング

ボールが行き来する中で、人が自由に動ける時間(準備のための時間)はバウンドまでが目安です。①相手後衛にボールが行った時の準備のタイミングと、②味方後衛にボールが行った時の準備のタイミングについて説明します。

①相手後衛にボールが行った時の準備のタイミング

味方後衛が打ったストロークが相手前衛に取られないと判断できてから、相手コートにボールがバウンドするまでが、ポジションを移動したり目線と体の向きを整えるための準備のための時間です。(図4.参照)

図4.相手コートにバウンドするまでが準備のための時間

相手コートにバウンドしてから相手が打つ瞬間までは、相手のインパクトでスプリットステップのタイミングを合わせるために備えるための時間です。(図5.参照)

このタイミングでまだ移動していると、相手のインパクトに対して反応が遅れるため、良い状態でボールに反応できなくなります。

図5.バウンドしてから相手が打つ瞬間まで

②味方後衛にボールが行った時の準備のタイミング

前衛で自分がボレーできずに味方後衛の方にボールが飛んで行ったら、ボールが自分のコートでバウンドするくらいまでには、ポジションを移動したり目線と体の向きを整えます。(図6.参照)

相手の前衛がボレーしてきた場合、相手が打っている時にポジションを移動してしまっていると、早いタイミングで打たれたボールに反応できません。

適切なタイミングで準備を済ませて、しっかりと構えてボールを待ちましょう。

図6.自分のコートにバウンドするまで

準備にかけられる時間はラリーの速さで変わる

後衛同士のラリーのスピードによっては、前衛の準備の時間、移動できる時間は変わります。ラリーが速くなるほど時間も短くなるので、ポジションはほとんど移動せず、体の向きだけ変えることになります。ラリーのスピードがゆっくりだと時間も長くなるので、必要に応じてポジションを移動し、ボールを取りやすい場所で相手のショットを待ち構えましょう。

まとめ

ダブルスの前衛で相手のショットに素早く反応して返球するためには、ボールがコートにバウンドするくらいまでには、ポジションを移動して体と目線の向きを向けておきましょう。後衛同士のラリーのスピードが速くなると、準備の時間も短くなるので、相手がボールを打つ瞬間にしっかり構えられるように準備を済ませておきましょう。

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ふっしー

伏見 大輔(ふしみ だいすけ)/TMCF代表/フリーランスのテニスコーチ/東京都板橋区を中心に都内でプライベートレッスン・初級者向けレッスンを開催/テニススクールにて業務委託でレッスン/テニスコーチ歴は17年(2022年現在)/7ヶ所のテニススクールにて指導経験あり

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