「ボレーは振ってはいけない」というアドバイスをよく聞きますが、これについて疑問を感じています。
結論から言ってしまうと「ボレーは振ってはいけない」が正しいかどうかの議論自体が、テニスのゲームの本質からかけ離れている無意味なものです。
ボレーではラケットは必要に応じて動いて使います。その中で動きが小さい時、大きい時、ほとんど動いていないように見える時と、状況によって様々な対応が必要とされます。
その対処が状況に合っているかどうかが最大のポイントだと思います。
これらの考えを自分なりにまとめてみました。
目次
テニスはオープンスキルのスポーツ
テニスはオープンスキルのスポーツで「1球ごとに違うボール」を「毎回違った対処」をしていくものです。
「ボレーは振ってはいけない」というルールを作る事自体が対応力を落とす大きな原因になってしまいます。
ゲームでは目まぐるしく変わる状況にいかに素早く対応できるかが勝負なので、自分の中の動作の決まり事は無い方が有利です。
テクニックの良し悪しの判断
そのショットが良いか悪いかの判断基準は
- ポイントが取れているか
- 状況に合っているか
- 戦術的に見て適切か
- 無理なく打てているか
ここまでがプレーヤーが考慮すべき部分。
ここからは指導するコーチのみが考慮する部分。
- 運動が理にかなっているか
- 運動が原理・原則に沿っているか
- 個性の部分は活かされているか
コーチは全てを考慮した上で判断する必要がありますが、プレーヤーはここまで考える必要があるとは思えません。
「振らない」≠「動かさない」
振らないと聞いて勘違いしがちなのは「全くラケットを動かさない」と思ってしまうことです。
上手くタイミングがあって打てていない人が、まったくラケットを動かさないでボレーすると、速いボールに対して打ち負けます。そんなプレーヤーを何人も見てきました。
テニスにおいてラケットが全く動かないで打つ場面は特殊な状況を除いてはほぼありません。
上手い人のボレーを見ていると、もちろん足も動いていますが、必要に応じてラケットも動いて当たっています。
コーチはどんな状態を見て振っていると判断しているのか
プレーヤーが振っていても指摘しない場合があります。
それは
- ポイントが取れている
- 状況に合ってスイングしている
- 精確に打てている
- 確率良く打てている
逆に指摘されやすい場面です。
- ゆっくり浮いてきたボールを力いっぱい打ってミスする(そこまで強く打たなくても決まるのに…)
- 速いボールが浮いてきて、それを強く打とうとして振り遅れる(それは攻めるボールじゃないよ)
- つなぐ状況、ブロックしてとりあえず返すしかないような状況で、無理に打ちにいってミスする(そこではそういうボールを返す状況じゃないのに)
これらをまとめると「状況に合っていない対処」をして、なおかつ失敗している時になります。
コーチと生徒の「振っちゃいけない」の違い
コーチの考える「振っちゃいけない」
上記の様に「状況に合っていない対処」をしている時にはアドバイスとして指摘します。
状況に合っていて、確率良くポイントが取れていれば指摘する事はまずありません。
生徒の考える「振っちゃいけない」
コーチに「振るな」言われます。
その言葉をそのまま受け取り、どんな状況でも振ってはいけないと誤解してしまう人が多いのではないでしょうか。
まとめ
コーチをやっていると「ボレーは振ってはいけない」というのは頻繁に耳にするアドバイスです。気を付けてほしいのは、あくまでもゲームで良いプレーする、相手に勝つ事が練習の目的です。
そしてボールコントロールが目的で動作は手段でしかありません。
それが、動作(手段)が目的になってしまい、何のためにそうするのかをプレーヤーが理解していないという状態にならないように気を付けてもらいたいです。
次回はコーチの視点から、ボレーでの見ているポイント、ボレーを振ってしまう人の原因と対処などをまとめていこうと思います。
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